シルビア

シルビアについて

1965年4月に発売された日産自動車で初の高級パーソナルクーペがシルビアです。磨き抜かれた宝石をイメージした「クリスプ・カット」と呼ばれる美しいスタイルが魅力の一台です。BMW507などを手がけたアルブレヒト・ゲルツの作と言われてきましたが、ゲルツはアドバイザーとなっており、実務は日産の社内デザイナーが行いました。中身に関してはひと月後にマイナーチェンジを受け誕生したフェアレディ1600と共通となっており、シャシーはラダーフレームを使用しており大変頑丈な作りとなっています。サスペン ションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがリーフリジッドで前輪には日産車そして初となるディスクブレーキが新たに採用されました。エンジンはSUツインキャブを備えた超ショートストローク型の直列4気筒OHV・1.60が使われており、トランスミッションはこれも初となるポルシェタイプ・シンクロの4段マニュアルが装備。協力工場である殿内製作所でセミハンドメイドされた2座クーペボディは作り込まれた匠な仕上がりをみせており、カラーはシャンパンゴールドのみとなっています。内装も欧州の高級GTを彷彿とさせる出来、120万円という価格はセドリックの高級グレードより高い設定でした。 同じ名を冠するものの、セミハンドビルドされた高級パーソナルクーペだった初代とは異なり、日産初のスペシャルティーカーとして1975年9月に発売された2代目シルビアは、本来は日産が開発していた2ローター・ロータリーエンジン搭載車として開発が進められていましたが、オイルショックにより計画が見送りとなってしまい、レシプロエンジン搭載車に計画変更の末、誕生しました。当時の日産の曲線基調のスタイリング路線の総決算ともいえる2ドアハードトップボディとなりました。 1979年3月に登場した3代目シルビアは、ベースはサニーから2代目バイオレットに格上げとなりましたが、先代とは大きく変わり直線基調のエッジを強調したボディも拡大されたため、前後のオーバーハングが長くなり、シャシーとボディが釣り合わずアンパランス感の残るスタイルでした。 1983年8月、シルビアとその双子車のガゼールは世代交代して4代シルビアが誕生しました。空力を計算し尽くし角を丸くデザイン変更したボディが特徴的で、リトラクタブル・ヘッドライトを備えたボディとなり、先代と同じく2ドアノッチバッククーペと3ドアハッチバッククーペの2種類が登場しています。走りを追求し作られた新型は、ボディサイズの縮小とホイールベースとトレッドの拡大により、先代の課題であったアンバランス感は一掃され、美しいフォルムへと変貌しました。また、リアサスペンションも下位グレードを除いてはセミトレーリングアーム/コイルの独立となっており、ステアリングもボール循環式からラックピニオンに改変されています。エンジンは新世代のSOHC・1.80がキャブレター、EGI、ターボの3種、スカイラインRS譲りのDOHC・16バルブ2がEGIとターボの2種となっており、いずれも高性能マシンといえる出来です。 86年2月のマイナーチェンジにより、20エンジンが廃止され、代わりにDOHC・16バルブ1.80ターボ搭載車を新しく誕生させています。また、ガゼールも消滅しシルビアに統一が行われました。88年5月にフルモデルチェンジして5代目が誕生しています。